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2005年09月28日

【シンポジウム報告】東京MOT6大学連合

文部科学省が認可したMOT大学院(技術経営系専門職大学院)に関するセミナーが東京・有楽町の国際フォーラムにて開催されました。以下、セミナーのサマリーとコメントです。

・テーマ:第一回東京MOT6大学連合シンポジウム~動き出した技術経営・MOT大学院
・日時:2005年9月27日(火曜日)、13:00~17:45
・プログラム内容:
(1)開会挨拶 東京農工大 古川研究科長(組織委員長)
(2)主賓挨拶 経済産業省 中園技術戦略官
(3)主賓挨拶 文部科学省 浅田専門教育課長
(4)基調講演1 山野井昭雄@経団連産業技術委員会産官学連携推進部会長(味の素顧問)~「産業界が期待するMOT」
(5)基調講演2 藤末健三@参議院議員、前東京大学助教授
(6)パネルディスカッション 「動きだした技術経営・MOT大学院」
(7)閉会挨拶 坂本正典@MOTシンポジウム実行委員長

以下、内容の抜粋です。

(1)開会挨拶 東京農工大 古川研究科長(組織委員長)
文部科学省設置認可の技術経営系専門職大学院の東京にある6つの大学が連合してセミナーを開催することになりました。

芝浦工業大学、東京工業大学、東京農工大学、東京理科大学、日本工業大学、早稲田大学の6大学の研究科長会議を開催し、6校で協議会を発足したことをお知らせします。今後、出来れば山口大学、九州大学に参加を呼びかけ、一般の工学系大学院(MOT的コース)や、企業内MOT、社会・企業におけるMOTとは違う高度なMOT教育(差別化)を目指そうと考えています。

(2)主賓挨拶 経済産業省 中園技術戦略官
経済産業省のMOT支援が4年目を迎えるにあたり、140の教材開発を実施し、技術経営に関するコースへの参加者が、のべ約4000名に達したことを成果としてご報告するとともに、MOT大学院の躍進に期待しております。

(3)主賓挨拶 文部科学省 浅田専門教育課長
MOTの登場は、「知の時代」を象徴することです。今後の課題としては、「認証評価機関」の定着が出来ていないことです。量的拡大とともに、質の保証を行うことにより健全な発展が見込まれます。

(4)基調講演1 山野井昭雄@経団連産業技術委員会産官学連携推進部会長(味の素顧問)~「産業界が期待するMOT」
経団連を代表し、産業界が期待するMOTの在り方を、味の素での研究開発をケースにお伝えします。

MOT人材は、教育界と産業界の間を埋める、架け橋であって欲しいと願っています。

人材には、教育と研究開発の二つの側面があります。MOTはそのどこの部分を担うのか、学術的研究とは違うことを意識していただければと考えます。

「パスツールの4象限」をもとに、ボーア型(大学の基礎研究)~パスツール型、さらにエジソン型、社会ニーズ、国家目標までの一連の流れの中で、リニアモデルをいかに形成するかが重要です。

味の素の創業は、大学研究者と事業家の出会いにより実現しています。味の素グループは、アミノ酸系と食品系の二つの価値観の違うものを持っているところが強みであります。これに研究開発体制が変遷し、2001年にカンパニー制が導入されました。

ソビエト連邦崩壊過程で、ソビエトに研究開発の技術力が蓄積されていることを知り、提携し、子会社化することで、今の味の素の世界戦略での競争優位を維持しています。それは、いままで自前主義が美学だった味の素としては画期的なことであり、そのロシアの研究所が米国とドイツからの買収の話を断って味の素と組んだのは、研究者同士の交流があったからでした。

製品へのアレンジでの、シェフ、フードケミスト、フードエンジニアの知のトライアングルについて、ビシソワーズをケースに説明すると、品質評価、物性特性、製造機構の工夫を行い、匠の技を大量生産化に結びつけることが出来ました。

今後の科学技術創造立国ですが、人材育成への産業界の支援として、「インターンシップ」の受け入れが始まっています。また、先端技術融合型COEを提唱したいと考えています。21世紀COEはいまだ融合型ではなく、複数の専門体系の組み合わせと連携、融合による新しい学問体系に向け前進することが望まれます。

(5)基調講演2 藤末健三@参議院議員、前東京大学助教授
日本の国家戦略としてベンチャー企業の重要性は、認識されていることでしょう。21世紀の日本を支える企業は、今ある企業が成長していくのか、或いは、さらに新しい企業をどう発掘し、育てるのかの二つが想定されます。

米国と日本をフォーチュン2000のベスト1000で比較してみました。米国では、1900年以降で見ますと、100年以上の寿命を持つ企業が80社ほどあります。その後、80年代~90年代に設立件数が増加しています。日本では、60年代以降に減少しており、M&A以外、新規企業が非常に少ないのが現状です。

日米有力企業の設立件数をさらに細かく見てみますと、政策と深くリンクしていることが理解されます。米国では、イノべートアメリカが発表され、過去の25年、効率性と品質向上のための組織の最適化により米国が繁栄したこと、次の25年間の課題はイノベーションのために社会全体を最適化(人材育成、イノベーションの推進)することであると結論付けています。

まとめの提言として3つ掲げます。①政策立案から政治家メンバーを入れて、政策実行のことまで考える、②国家ビジョンを決める、③戦略創りに予算をかけることです。

(6)パネルディスカッション 「動きだした技術経営・MOT大学院」
平澤冷@東京大学名誉教授がパネルディスカッションの司会を務めました。

平澤先生がパネルディスカッションをリードする形で、「MOTにおける学問論」と「MOT教育の振興方策」について、レクチャーを行っています。

まず、MOTにおける学問論として、「実務的知への傾斜と更新メカニズム」の重要性が指摘されました。専門職大学院の発足は、時代の進歩とともに進化すべきと提言されています。次に「学際的アプローチと経験知の深化」として、概念思考モデルの採用と方法論の採用が求められ、経験知の相対化と体系化により深化が図られることが指摘されました。そして「新たな学際的ディシプリン形成への方途」として、固有の概念思考のフレームモデル開発と固有の方法論、更新メカニズムの発見などがアプローチとして有効であるとしています。

MOT教育の振興方策ですが、「教育の有効性の検証」として授業評価と派遣元の満足度、新たなポストの獲得などが指標として掲げられました。また、「産官とのネットワークの深化」では担当部署間から現場担当者間へ新たな連携や仕掛けが求められ、「MOT研究の振興」として、MOT教育の研究を研究開発と経営の両面と学際的な部分で担うとともに、教育へのフィードバックが指摘されました。

その後、6大学院の各研究科の現状と実施過程で得られた知見、各大学院の特徴と差別化についての説明がありました。

・芝浦工大(児玉先生)
実理(実務と理論)を主体とし、工学ベースのMOTを目指します。経営工学と工学経営(MOT)は字をひっくり返しただけでなく、似て非なるものです。既に卒業生を輩出しており、これから評価が定まります。一部学生については、さらに博士課程に進学しています。

・東工大(圓川先生)
イノベーション創出を目指し、日本型MOT(現場主導、インスピレーション)を大事にしていきたいと考えています。既に平成15年から知的財産マネジメントの講座を開設しており、それらを取り込む形で拡大発展しています。東工大ではリーダーシップの育成が重要と考えています。

・東京農工大(古川先生)
平日夜間+土曜日の講義により社会人負担を軽減しています。本校は小金井にありますが、田町のキャンパスイノベーションセンター(文部科学省)を借りて、遠隔授業を実施しています。MOTにつきましてはリスクマネジメントに着目して特徴あるMOT教育を実現しております。

・東京理科大(板生先生)
サイエンスをベースに、マネジメントとテクノロジーの融合を図りたいと考えています。アナリシスではなくインテグレーテドを目標にしているため、「総合」が研究科名に含まれています。経営と科学と技術を、フィールドスタディ、プロジェクト研究でつなげます。人間力、経営力を育成するため、会社そのものを持ち込む、OJTで回せるようなNPOの立ち上げとソリューション解決を目指します。

・日本工業大学(村川先生)
中堅中小企業を対象に一年で修士を取得できます。受講者は全員社会人で、5年程度以上の実務経験を前提としたカリキュラムになっています。日本工業大学発祥の地である神田に教室を設置。地下鉄から徒歩1分の利便性。

・早稲田大学(寺本先生)
世界に開かれたMOTプログラム。優秀で同質な人材の集まりは最もイノベーションに向かないという考えのもと、多様性(フレキシブル)を求めています。クロス研究室を実現し、制度でガチガチにしないことを心がけました。

フリーディスカッションでは、社会人経験講師の資質、カリキュラムの基礎部分の共通化、MOT淘汰の時代などの意見が出されました。

(7)閉会挨拶 坂本正典@MOTシンポジウム実行委員長
第一回が無事終了しましたが、是非第二回の開催をということで、会場の関係者の皆様のお力添えでこれからも、MOT大学院を盛り上げてくだされば幸いです。

以上■

投稿者 isdr : 2005年09月28日 08:15