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2006年03月09日

【書籍】イノベーション・パラドックス

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・タイトル:イノベーション・パラドックス
・著者:ジョルジュ・アウー
・出版社:ファーストプレス
・発行年月日:2006年2月1日 第1刷発行
・価格:2400円+税

著者のジョルジュ・アウー博士は、スイスIMDの技術・革新的経営学教授。そして、英国ケンブリッジにあるインキュベーター会社、ジェネリックスの共同経営者でもあります。

「イノベーション・パラドックス」は、イノベーションを主体とする技術系研究開発に対するCEOの後ろ向きな、予定調和の考え(損をしない程度の、利益に短期的に貢献させたい)というバイアスにより、決定的なチャンスを逃がしているところから、説き始めています。

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イノベーションマネジメントには、「分散型イノベーション・システム」が必要であり、技術知識を外部から導入するにあたり、シームレスなマネジメントに何が不可欠かを、抱負な事例をもとに解説しています。

著者は、日本や韓国に造形が深く、現に1983年の初来日以来、欧州から数多くの調査団を引き連れ、日本の(バブル時代の)進化の状態をつぶさに見てきました。

その後、失われた10年の日本をも見ることになるのですが、一貫して、バブル時代の日本の実力への高すぎる評価と、バブル破綻後の低すぎる評価というバイアスの是正を行間にしたためています。

冒頭、2004年からMETIが主導してきた日本のイノベーションの実態、MOTプログラムへの重点的サポートなどが提示されています。あるいは、親日派として、日立製作所やキャノンなどでのイノベーションプログラムをケースとして提示しています。

諸外国の学者、経営戦略コンサルタントからの、日本の施策に対する評価が高いことには、何やら嬉しいものがあります。日本は出遅れた部分を一生懸命に挽回し、いつしか世界の先端に飛び出す潜在力を持っていますので、僕はMOTを諦めずに、応援したいと考えています。

((若干著者が日本の現状を褒めすぎですし、これから成果を出していかないと、著者の性格からして、次回本では酷評されるような気がしてなりません。))

((実際、2004年に発売された原版では、日本の巻き返しが、かなり欧米諸国の参考になったとも考えますし、日本の市場のこの2年間のさらなる飛躍、試みについては、是非さらなる調査分析を加えていただきたいとも考えますが、いずれにせよ、イノベーションのための組織のあり方、マネジメントのフレームを垣間見ることは可能です。))

若干気になるのが、ジェネリックスの共同経営者の立場から、ジェネリックスの凄さの宣伝が続く部分と、イノベーションとリノベーションの混在の部分でしょうか。

このあたり、行間に留意しつつ読み進めることが大事ですが、大学の活用、共同研究含め、様々な仕組みのベース、参考となるモデルを懇切丁寧に解説していますので、効率よく吸収することが出来ることでしょう。

((大事なのは、知識の吸収よりも、それらの実践と、成果のフィードバック、さらなる改良であることは言うまでもありませんが・・・))

著者はスイス、そして中国との戦略的パートナーシップの可能性を提案しています。僕は、それとは別に、北欧、NIEs、ASEANとの関係再構築が日本企業には効果的という立場を唱えていきたいと考えています。

なお、監訳は石原昇@サイコムインターナショナルのMOTアドバイザー(元野村総研)です。NTT民営化の政策立案、さらにはアナリストとして、情報通信、半導体などを見てきており、MOTを含む日本のモノづくりの復興への期待が監訳者あとがきに熱く語られています。

投稿者 isdr : 2006年03月09日 20:06