| ひとまず今回で、環境報告書分析の基本的な5つの尺度の提示を終える。
5つめの尺度は客観評価である。
・各種環境大賞へのチャレンジ 客観評価では、環境省や各種メディア、シンクタンク等が主催する環境報告書に関する賞などへの参加を取り上げた。
実はこうした賞を調べるなかで、賞自体にもっと色々な角度からの光のあて方があってもよいのではないかという問題意識が台頭してきた。
業種業界ごとに環境の制御しやすさ、制御しにくさがあるとともに、そのアプローチも色々あってよい。
きっちりとモノ作りの現場から対処可能なものと、トップダウンで一定の幅を持たせ、そのなかで創意工夫しているものなどは、それぞれ別の評価があってしかるべきだ。
・比較可能性 自社の環境へのかかわり、制御などについて、他社や他業界と比較可能な表現をすることも重要である。
定量指標をいかに有効活用しているかにとどまらず、定性指標を定量化し、ビジュアルに且つ異なるもの同士を、一定の切り口で比較できることが求められる。
・対象者の明確化 環境報告書の「市場」が成熟するにつれ、報告対象者が細分化されていく。
利害関係者は、株主にとどまらず、「消費者」「従業員」「従業員家族」「地域住民」「マスコミ」「政府関係者」「就職を希望する学生」、・・・と360度見渡すことが求められてくる。
こうした場合の見渡し方、見渡す角度、見渡した対象者への特徴付け、「狭く・深く」といった強弱や濃淡のつけ方、コーポレートカラーの見せ方が「客観評価」であるともいえる。
そして、複数の利害関係者がそれぞれの立場での問い合わせを行うときに、それぞれのレベルにあった問い合わせ窓口があり、あるいは問い合わせ窓口への案内がわかりやすく表示されているかなどがチェック項目として浮上してくる。
・質感 最後に、リアルな報告書を手にしたときの印象であるとか、紙質やレイアウトから来るイメージというものがある。
要するに、手に取り、関心を示し、そしてコンテンツを読み、それが企業行動と結びつく、イメージとして理解できる、実際の企業理念が思い浮かぶ、共感を持てるという部分である。
こうしたイメージは、単に表面上の見かけのデザインだけではなく、企業の環境への取り組みを深く理解し、コンテンツを咀嚼し、受け手のレベルや要求水準、こうしたコンテンツへの欲求の高まりなどを加味し、最適化することが望まれる。
環境報告書への対応は既に900を上回る企業や組織(工場や支店レベル)で行われ、普及したといえる。
一方で、担当者のなかには、使い古された手法から脱却し、企業としての前向きな姿勢を違う表現で顧客に直接届けることができないかという意識、ニーズが高まっているのも事実だ。
例えば、CSR(企業の社会的責任)を訴求することが一つの答えとなる。
CSRとは、突き詰めれば、企業の利潤追求活動のなかで後ろ指をさされず、胸をはって持続的に発展できる「場」を設け、「利害関係者」とのシナジーを高めることに他ならない。
こうなると、企業活動での生産と消費、成長と消耗を伝達する「環境報告書」は、企業の目指す「ポジション」を見渡すための「パスポート」であり、地域での活動を保証する「ビザ」であるともいえる。 |